グロースハッカー目指してみる

過去の経歴を捨て、グロースハッカーを志す事にしたアラサー男子。果たして明日はあるのか!?

「丸投げ」と「任せる」の違い("部下を持ったら必ず読む「任せ方」の教科書"読書メモ)

仕事を任せるのって難しい

皆さんこんばんは。 突然ですが、皆さん自分の部下にどのように仕事を振っていますか? 方法としては、色々あると思います。

  • やるべき事の手順を伝える?
  • 欲しい成果物を伝える?
  • 仕事の発生した背景を伝える?

かく言う自分は会社では一人部署なので、これまで悩む事も無かったのですが、 最近は自分ディレクションで社外に仕事をお願いしたりもしているので、多少考えたりもします。

実際、社内を見ているとトラブルが多く、 特にクリエイティブな仕事では任せ方が難しいようです。

もっとも、今日においてクリエイティブ"でない"仕事の価値は激減しており、現代の仕事とは総じてクリエイティブであると思っています。なので、別にうちがゲームを作っているから特段クリエイティブな仕事をしている、という考えも間違いでしょう。……という議論は本題ではないので今日はここで打ち切り。

そんな訳で、仕事を「任せる」方法論について、さっとgoogle先生amazon書評から選んだのがこちら。

ライフネット生命出口さんの著書です。 私も一度、出口さんとは直接お会いした事がありますが、歴史に詳しく、それを知識ではなく知恵に昇華されており、講演会などを頼めば名古屋にでも来ていただけるフットワークの軽い方です。

結論としては「5つの条件」を満たすべし

結論から言ってしまえば、仕事を振る際に、以下の5つを全て伝えると上手くいく、というのが出口さんの意見です。(本の中では4つとなっていますが、複数の意味を持つものがあるので、ここでは分解します)

  1. 期限
  2. 他の仕事と比べた優先順位
  3. 良し悪しの判断軸とその優先順位
  4. (仕事が生まれた)背景や目的
  5. 要求レベル

以下、この5項目を自分なりに考察してみます。

「期限」と「他の仕事と比べた優先順位」、「要求レベル」はマネジメント上の必須要件

このうち、「期限」「他の仕事と比べた優先順位」「要求レベル」の3つは、主に仕事の全体像を見ている者として、進捗を管理する上で必要になる項目でしょう。

「期限」「他の仕事と比べた優先順位」について、組織全体でどれだけの仕事があり、どの仕事をどういう順番で終わらせていけば良いのか、知っているのは上司だけです。部下は部下で、これが分からないとペース配分ができません。よって、この2つは至極当然の(しかしやはり現場では徹底されていない)事です。

「要求レベル」についても、初めから作り込んだものを出されて、結果そもそもスタートから逆方向に走っていましたとなると手戻りが大きいですから、そうしたリスクマネジメントのために予め握っておくに越したことはありません。

「良し悪しの判断軸とその優先順位」「背景や目的」は、仕事の質を高める工夫

一方残りの2つ、「良し悪しの判断軸とその優先順位」「背景や目的」は、仕事の質を高める工夫ではないかと思います。

まず「背景や目的」については、本書にそのままズバリ書かれています。

目的と背景を説明しておかないと、仕事の全貌は伝わりません。部下Bは、言われた事しかできなくなります。 データが見つからなければ、「見つかりませんでした」と報告して終わり。「代わりのデータを探そう」という発想は持たないでしょう。 部下の創意工夫を引き出すためにも、「目的と背景」をきちんと伝えるべきです。

次に「良し悪しの判断軸とその優先順位」ですが、実際にはこれが一番肝だと思っています。 なぜならこれを伝える事は、上司が望む通りの成果を得る事と、部下が裁量を持って自由に仕事をする事を、両立させ得るからです。

例えば、本書の例では、出口さんがWeb担当者にWebサイト制作をお願いした時、以下の優先順位を伝えました。

  1. 使いやすさ
  2. わかりやすさ
  3. SEO対策

すると担当者は、自分の持ちうる知識とスキルを総動員して、何より「使いやすい」サイトを構築してくれるでしょう。 もしも優先順位の指定がなければ、担当者がSEO対策を重視したサイト構築を行い、求める物とは違う物が上がってきてしまった可能性があります。

判断軸を伝えるが、最終結果は指定しない

「良し悪しの判断軸とその優先順位」を伝える事についてもう少し突っ込むと、このやり方では「細かい成果物の形」については指定をしません。

上述のWEBサイトの例で、WEBサイトのデザイン案が上がってきた時、ボタンのサイズが小さかったとします。この時、上司の側は大きく二つの言い方ができるでしょう。

  • ここのボタンを大きくしてほしい
  • これは使いにくいと私は思うので、大きくするなど、何か対策をしてほしい

1.は指示レベルでのフィードバック、2.は要件レベルでのフィードバックです。

1のフィードバックを返すのは簡単です。ただ自分が変えたい所を直接伝えるだけです。次に出てきた時には、自分が指摘した通りの物が返ってくるでしょう。しかし、この指示には問題が2つあります。1つは、部下の考える余地を奪ってしまい、ただの手足にしてしまう事。もう1つは、この指示を繰り返すと部下が「何が正解か分からない」状態になる事。

前者は論じるまでも無いので良いとして、後者が厄介です。上司も万能ではなく、仕事を発注している段階では、完璧な完成形は見えていません。その状態で、個別具体的な指示を出していると、「こうしてみようか」「やっぱりこっちが良かった」「いや、でも最初だったかも」と部下を大いに振り回す事になります。前の会社では自分が振り回される側でしたし、今の会社では振り回しているのをよく見ます。(現在毎週楽しみに見ているアニメ「SHIROBAKO」でもキャラデザ担当が、Pと監督に振り回されるエピソードがありました。これがまた面白いので、そのうち記事にすると思います)。 すると完成まで時間がかかるだけでなく、部下の側も「この上司はどこに行きたいのか分からない」と途方に暮れてしまいます。これでは皆が不幸です。

これに対して、2のフィードバックを返すのは難しいです。そもそも事前にしっかり、判断軸を伝えておかなければなりません。そうでないと「要件を後出ししてちゃぶ台返し」が発生してしまいます(実際これはこれでよく起きます)。また、個別具体的な事はその場ですらっと言うことができますが、要件レベルで反しているかどうかは、一度考える時間が必要です。

人間はどうしても安易な方へ流れてしまいますが、その誘惑を振り切ってでも、2のフィードバックをするメリットはあります。それは、部下が困らず働ける事、そしてそれにより短期間でクオリティの高い成果物が得やすい事です。

例えば上司は「使いやすい=ボタンが大きい」、部下は「使いやすい=ナビゲーションが一箇所に集まっている」と捉えていた場合、往往にして発注段階ではそこまで深く理解しあえず、初めの提出では大きくずれた物になると思います。しかし、事前に評価軸が共有されていれば、そこから「使いやすいとはなんぞや」という議論にすぐに入る事ができます。上司からNGのフィードバックを受けても、それは評価軸の「捉え方」が違うだけで、そこを修正すれば良いのだと明確に分かるのです。

このやり方であれば、評価軸に反しない範囲で、部下は自由に動けます。それであれば、部下は自分の創造性を大いに発揮しながら、上司から出された要件を満たすという"パズル"を、解いていく気になれそうです。

ただし気を付なければならない事として、評価軸を個別具体的にしすぎない事、評価軸を大量に設定しない事です。

あまり細かく順位をつけると相手の自由度を奪うので、1番目から3番目までぐらいでよいと思います。

だいぶ回り道をしましたが「丸投げ」と「任せる」の違いとは

言ってしまえば、上記の「5つの条件」を全て備えていない依頼は、全て「丸投げ」と言っていいでしょう。

  • 期限が無ければ最悪30年後に提出されても、非はこちらにあります。
  • 他の仕事との優先順位が無ければ、どうでも良い簡単な仕事から先に上げられても、非はこちらにあります。
  • 要求レベルがなければ、取り返しのつかない所まで進められても、非はこちらにあります。
  • 目的と背景を説明しなければ、全然使えないものが出てきても、非はこちらにあります。
  • 評価軸を伝えず、仕事が停滞しても、非はこちらにあります

そもそもなぜ「任せる」必要があるのか?

ここまで読んできて、「任せる」事が実は凄く難しい事だと思われたかもしれません。私もそう思います。 ですが、組織で仕事をする以上「任せる」ことは絶対に必要になります。

なぜなら元々組織とは、一人では成し得ない大きな事を成すために、特性の違う人々が寄り集まったものだからです。その中で、マネージャーが一つ一つ、全ての仕事をチェックし、細かく直していては、結局マネージャー一人で100人分の働きをしなければならず、すぐに破綻してしまいます。

いかに上手く部下に「任せ」、組織として最大の成果を効率良くだして行くかを考えるのが、マネージャーの責任でしょう。

まとめ

というわけで、読書メモにかこつけて、だいたい最近仕事場で色々見ながら自分が思っている事を書いてみました。 皆さんそれぞれ、上司であり部下である立場をお持ちと思いますが自分が指示を出す時は以下の5点を伝え、自分が指示を受ける時は以下の5点を引き出す事を心がけましょう。 私も心がけます。

  1. 期限
  2. 他の仕事と比べた優先順位
  3. 良し悪しの判断軸とその優先順位
  4. (仕事が生まれた)背景や目的
  5. 要求レベル